紹介文 | フリーのオリジナルレスラー「伊庭 行博(いば ゆきひろ)」です。
メジャー団体でデビューし、ブレイクすることなく退団、引退した父を持つ二世選手。
父親はプロレスラー以外の道を歩ませたかったが彼自身はプロレスラーになることを強く望み、
父とEzo Empire総帥榎戸武治からプロレスを学びデビューした。
決して派手ではないが、ジュニアとしては厚みのある体格を生かした
じっくりとした攻めで試合を組み立て、時にダーティファイトも挟んだ
老獪な攻めで相手を追い詰めていく。
こう見えて20歳である。
プロレスラーを志すに際して、父から課せられた教えは、
彼にとって道しるべでもあり、また、呪縛でもあった。
「お前は俺に似ている。有り体に言えばまあ観客受けするビジュアルじゃない」
「お前はエースにはなれないだろう。俺の失敗は、会社の言葉に逆らい続けて
エースになろうとしたことだった。」
「お前の武器は、エースになるための武器じゃない」
であるから父は、彼にエースたらしめる華やかな技術を教える
ことなく、むしろ観客のヒートを買うようなダーティテクニックを伝授し
榎戸もその意を汲んで彼を育て上げ、リングに送り込んだ。
Ezo Empireの一員としてImpuct!!を荒らす傍ら、父と榎戸の指示により
瀬野尾針と行動を共にするようにしている。齢40を過ぎ、若手に混ざって
現役を続けている瀬野尾の姿は、彼にとって「諦めなかった父の姿」なのか
「諦めの悪い父の姿」なのか。
それを考えさせるための帯同なのだと榎戸は言う。
実は彼の父は、零細団体のエースをしていた頃の瀬野尾を知っている。
むしろ、憧れの姿として捉えていたところがある。
「舞台さえ整っていれば、輝く才を持っている。大きな間違えに気付いていない」
メジャー団体で立ち位置を誤った父と零細団体で自分を磨く術を誤った瀬野尾。
瀬野尾のことも歯がゆく思っていた父にとってこの帯同は瀬野尾に向けての
メッセージでもあるのかもしれない。
体格を生かした必殺技や、セントーンについては榎戸から学んだ。
あまり見栄えのしないビジュアルは、あえて野暮ったくして
ヒール然と振る舞うための武器になった。
ダーティワークもヒールとして世界を渡り歩いた榎戸の薫陶もあって、
だんだん板に付くようになった。
その上で正統派技術の粋であるジャーマンスープレックスを
隠し持つのは、彼なりの父への意趣返しでもあり、
感謝の親孝行でもあった。
それは、父の滅多に決まらなかった必殺技だったのだから。
富山県・射水市出身。 |